筑波大学情報学群情報科学類 令和元年度 公募推薦 受験記

こんにちは、p(rivate|ublic)_yusukeです。せっかくの機会であることも考え受験記を書くことにしました。合格したので。

なぜ推薦入試を受けたか

模試の帰りに本屋に寄ったとき、推薦入試の赤本が置いてありました。たまたまそれを読んだときに英語と数学の融合問題が出題されていた(しかも全然難しくない!)ことがわかり、自分に合っているなと思い挑戦しました。2018年度はcountable infinityに関する英文が載っていて、趣味で勉強していた内容がそのまま出ていたためかなりモチベが出たことも一つの理由です。

AC入試

実は以前、AC入試(アドミッションセンター入試、いわゆるAOのようなもの)を受けていたのですが、そこでは一次の書類選考で落とされてしまいました。文字数自由の自己推薦書はうまい具合にまとめられたのですが、志願理由書の押しが弱かったのかなと思っています。またそのときはパソコン甲子園本選出場も決まっていなかったので、実績が足りなかったことも可能性として挙げられます。

推薦、受けるぞっ!

そもそも筑波大学に行きたかったのは、


  • 小さいときから大学名を知っていたから
  • VPN Gateの運用元の存在として知っていたから
  • ICPCで強かったから
  • その他ネット上で「情報系 => 筑波大学」的なコンテンツを目にしてきたから
  • 東京へ一時間弱で行けるところにあるから
  • 高校のイベントで何度かつくばに来ていたから
  • 総合大学のため多種多様な人種が存在することに面白みを感じたから
  • 成績的にも丁度良さそうであったから
  • 幅広く知見を取り入れながら、興味のあるNLPやデータ構造とアルゴリズム等についても勉強したかったから

などが挙げられます(きりがありませんね)。特に太字の部分は面接の志願理由として話したところです。小学生の頃から大学の名前を知っていたので、中学生、高校生のときも何となく意識していました。高校に入ってからはずっと第一志望に設定していました*1。何となく小さい頃から憧れがあったのだと思います。

評定平均が0.1足りねえ!

推薦用件は3つあります。ここにある募集要項の40ページ付近に書いてありますが、私は最初(1)を選ぼうとしました。

(1) 情報科学や情報技術の分野に興味を持ち,調査書の学習成績概評A段階に属する者,又は筑波大学の個別学力検査等に合格できる程度以上の学力を有する者
(2) 情報科学や情報技術の分野に強い関心を持ち,論理的思考力と表現力に優れ,豊かな発想ができる者(その能力を証明する客観的資料があれば適宜添付のこと。)
(3) 高等学校等において,国際的な課題をテーマとする探求的な学習や,国際交流に関する活動に取り組み,コミュニケーション能力,問題解決力等の国際的な教養を身に付けた者(その根拠として,本人の作成する「活動報告書」を添付のこと。)で,筑波大学の個別学力検査等に合格できる程度以上の学力を有する者

調査書の学習成績概評A段階」というのは、評定平均値が4.3以上である人たちの区分のことです。私は運が悪いことに4.2だったのです。原因として世界史や地理の授業で突如襲ってくる睡魔に負けたことが挙げられます。「そもそも推薦入試を受けることはないだろうし、赤点取らなければOKでしょ……」とか思っていた過去の自分を恨みました。
私の高校からは年に数人筑波大学に行く人がいるし、模試では校内一桁前半台をキープしていたので(1)でもギリギリ行けるんじゃないかと思っていましたが、最終的に校内の会議では(2)を選択するようにと知らされました。

(2) 情報科学や情報技術の分野に強い関心を持ち,論理的思考力と表現力に優れ,豊かな発想ができる者(その能力を証明する客観的資料があれば適宜添付のこと。)

(2)はもっとすごいガチプロが選択するんじゃないかと思って、あぁこれは厳しい戦いになるのだろうなあ……と思ったのでした。
書類を送付するにあたって、私が今まで理数科の課題研究で取り組んできた「フィボナッチ数列アルゴリズムたち」の論文と英検準1級の合格証明書を添付しました。英検はたまたま何も考えず受けたら合格したものだったので、まさか役立つ日が来るとは思いませんでした。

当日

試験の前日はホテルに泊まり、一人で一晩過ごしました。翌朝ホテルが手配したバスに乗って受験会場へ向かいました。親の同伴のもとホテルにいた人達が結構いたので少し疎外感がありましたが、気にしません。むしろ一人でしっかり受けるぞという気持ちでした。

情報科学類の受験会場にいたのはほとんど男子でした。43人の受験者のうち2人が女子でした(観測できた限りだと)。メガネ率も相当高かったように思います。PCK本選や競プロキャンプなどで見かけた人の影を見ることはありませんでした。

私は以前からOCや高校のイベントで筑波大学に訪れることが何回かあったのでそこまで緊張しませんでした。例えば夜寝られないとかガチガチになっているといったようなこともなかったため落ちついて筆記試験を受けることができました。

筆記試験

解答用紙には、それぞれ下書き用の茶色の解答用紙が一緒についています。ホッチキスでとめられているので、試験開始前に取り外すよう指示が出ました。

大問1は以前と変わらず、数学に関する英語の文章を読んで答えていく形式です。ツイッターでよく見る人達なら普通に満点回答できるレベルだと思います。年度によっては情報に関連するトピックだったりするのですが、今年は黄金比についてだったのでそこまで関連しているようには感じませんでした。

ところで私の課題研究ではフィボナッチ数を求めるときの既存アルゴリズムと自作アルゴリズムの計算量を比較したりしていました。フィボナッチ数列の一般項には黄金比の値が表われたり、フィボナッチ数列の隣りあう項の比の極限をとると黄金比に収束するということが知られています。これを知っていた僕は、問われている様々な設問に対して「あぁ、この値ね」といったふうにまるで出題者の気分になったかのようにサラサラと解くことができました。多分ほぼ満点に近いと思います。

問題用紙のフォーマットについて書くと、あれは完全にMicrosoft Wordで書かれていました。数式のフォントがまさにそれだったからです。どうでもいいか。

2018年は大問2が大問1の文章に基づいた論述問題に切り変わっていたのですが、2019年の筆記試験では傾向が戻ってまた小論文になりました。きっと2018は小論文のテーマのネタ切れが来てしまったのだと思います。今年のテーマを見ると「オリンピックが起こす混雑の解消方法」を問う問題でした。オリンピックが終わった後は、「オリンピック実施中には〜〜が課題として上がったが、これを解決する方法と、それに必要な情報技術を考えて記述しなさい」という風な設問が出るのかも?と勝手に予想しています。知らんけど。

面接

昼休みを一時間ほど挟んだ後、面接が始まります。受験番号が若い順に一度に3人ずつ呼ばれるので、面接が行われている教室の前に行きます。これ、英検の面接にとても似ているなと思ったこともあって、極度の緊張になりそうだった小さい緊張が良い具合にほぐれていきました。

受験者を面接会場まで案内する試験官は全員女性でしたが、中に入ると3人の男性教授が待ち構えています(ちょっとビビる)。いつもの通り、ドアを開け「失礼します」と言った後、中に入り静かにドアを閉めたあと椅子の横に立ちます。「お座り下さい」の合図で座った後に受験番号と氏名、出身高校を聞かれるので答えます。なぜか出身高校をその後すぐ再度尋ねられため、戸惑いながらも繰り返すと「あっ、さっきもう聞いてたね」と言われ、相手側が笑っていたので私も思わず笑いました。この状況ですでにわかるように面接は本当に和やかな雰囲気だったと思います。

  • 受験番号、氏名、出身高校
  • 好きな教科/苦手な教科
  • 志願理由
  • 数学の口頭試問
  • 高校でのクラブ活動で頑張ったこと

この順で質問されました。これは昨年も全く同じ順番だったので、落ち着いて話すことができました。

問題なのは口頭試問です。昨年は数3の問題のみだったのですが、今年は確率と数3の積分になっていました。積分の問題はちょっと問題が複雑に見えたので、一問はまず解けると確信した確率を選びました。もっとも確率はあまり得意ではない単元だったのですが……。きっと黒板を使いながら話をするということを考えると、確率のほうが言語化しやすいし向いているのかもな、なんてことも考えていました。実は移動式の黒板が受験者側に用意されているので、ここに書きながら3名の教授陣に説明できるようになっています。これも昨年同様でした。

確か問題は「A, B, Cがそれぞれさいころの2つの面に書かれている。①さいころをn回ふったとき、Aが出ない確率を求めよ。②さいころをn回ふったとき、AとBが一回以上出る確率を求めよ。」といったものでした。数3積分のほうは覚えていません。ちなみに机の上に最初伏せて置いてありました。明らかに \LaTeX\で作っていたように見えました(フォントからして)

①は楽々解きましたが、②はテンパって余事象を考えた段階で固まり始めてしまいました。すると一人の先生からアドバイスが飛んできて、それを参考にしつつ黒板に説明を書いたり話を続けました。また別の先生からも助言をいただきながら、最終的になんとか時間内に答えに辿りつくことができました(後で考えると本当に正答を出せていたか微妙な気がするが)。見えていた失敗がそこにはありましたが、できるだけのことはしたつもりでいました。例えばずっと黙っていると相手も自分のことを評価しづらいだろうし、かといって間違ったことだけを言うのもマズいため、適宜アドバイスをいただきながら話せる部分だけはしっかり主張することを心がけました。

この口頭試問の前には好きな教科とかの質問がされましたが、あえてストレートに答えるだけに留めました。なぜなら、試験官は教科について簡単なリストにメモをとっているように見えたため、長々と答えるべき質問ではないと判断したからです。そのかわり、志願理由は3つの主張に分けて長めに話しました。

  • 情報分野の学習を独学でしているうちに、大学でより体系的に基礎から学びたいと思った
  • 自然言語処理に興味があるが、応用するためには世間一般の教養が必要であり、それを得るために総合大学としての筑波大学は適合していると思った
  • 自然言語処理を扱っている研究室が二つほどあり、それぞれの場所で行われている研究が私がしたいことに近いように見えた

概要はこんな感じです。うまい具合に繋げて話しました。2分ぐらいかな。直前にボソボソ小声で練習していたら5分ぐらいかかりそうなことに気づき、これではマズいと感じたため本番では早口で要点をまとめて話すことにしました。
自然言語処理という単語を発した瞬間なぜか試験官の全員がメモを取りはじめていたのが今だに謎です。

最後のクラブ活動に関する質問は、パソコン同好会の会員が0だったところから部に昇格させるまで築きあげてきたこと、文系の人でも情オリでBランクを取ってもらえるところまで部内で指導してきたこと、またPCK本選に行けたことについて話しました。「つまりあなたはリーダーシップを持っているということですか」と尋ねられたので「はい、そういうことになると思います」というよくわからない返しをしました。

試験終了後

面接自体は5時ごろまで行う予定だったのですが、幸い私の受験番号は早い方だったので、2時前には施設を出て親に迎えの連絡を取っていました。その後東京までTXで行き八重洲ブックセンターで暇をつぶしました。その日は🍣を食べました(とてもおいしかった)。

結果発表

その二週間後、12/12の12時に筑波大学のウェブサイトで合格者の受験番号が公表されていました。4限は12:15に終わるのですが、正午の10分前あたりからずっとドキドキしていました。この日の朝は家から駅に歩いていく道で吐きかけたのでした。思えば高校入試の合格発表のときもそうだったな。

その日の4限は化学で自習時間だったので、先生の「じゃあもう15分だから適宜終わりにして」の声を聞いたその後、多少のためらいを持ちながらもウェブサイトを開きます。
発表者一覧のPDFへのリンクを探し、指で触れたその直後、画面には自分の受験番号が表示されていました。あの興奮は忘れられないと思います。本当に嬉しかったです。見間違えているのではないかと思いました。思わず泣きそうになって友達が背中を叩いてくれたりしましたが結局涙が出るわけではなかったです(は?)

とりあえず親に電話して、入試に関してお世話になった先生たちのところに御礼を言いに行ったりしました。翌日には入学手続書類が届き、数日間で少しずつミスがないようにしっかり確認しながら書き進めました。

二年前のOCで講演していた方からもリプが飛んできたりして嬉しかったです。夢が叶いました。

まとめ

入試制度はうまく活用しましょう!数打ちゃ当たるというのはいつも正しいわけではないですが、少なくとも今回は有用に働いた戦法だったと思います。
あと、推薦入試の設問との相性が今までに受けてきた試験の中で断然よかったことは、本屋で赤本を見ていなければわからなかった。そもそも推薦なんか使うもんか、と思っていたのは友達も僕もそうでしたが、「過去問を見ずにそう思いこむのはもしかしたらみすみすチャンスを逃してしまうことに繋がりかねない……?」と結果的に思わされることになりました。
受験は情報戦であると言われることがありますが、まさにその通りです。筑波大学は「AC入試ほど尖ってはいないけど、情報への興味が強くある人ぐらいなら公募推薦で取ってみたいな」と考えているのかもしれません。様々な規定には必ずそれなりの意味があると思いますので、それを考慮した上で戦略を練ると自分に合った入試制度を見つけられるかもしれません。*2

とりあえず、大学を決めることができたので、これからもパソコンを愛でながら過ごしていこうと思います。長文ですが、何かの参考になれば幸いです。

*1:「志望校のレベルをもっと上げろ」というふうに進路指導の先生に言われたことがあり、一応模試で東工大を第一志望として書いていたときもありましたが、そこまで判定は良くなかった(一度だけ駿台模試でC判定が出たときがあった)

*2:もっとも、一般入試を受ける人が大多数であることには変わりありませんが。